活動報告

2011/09/04

自殺対策全国民間ネットワーク「緊急集会」

9/4(日)に、岩手・盛岡市にて「震災自殺を防ぐため いま私たちに何ができるか」をテーマにした緊急会合を開きました。9/10から「自殺予防週間」が始まるのに先駆けて、ライフリンクが2005年から毎年、WHO(世界保健機関)の後援を受けて催している「WHO世界自殺予防デー(9/10)」関連イベント第7弾として開催したものです。

当日は、「自殺対策全国民間ネットワーク」に加盟する36団体が、北海道や九州など全国各地から集結。朝から夕方まで7時間以上に渡って、以下の3テーマについて具体策を議論しました。

(1)震災自殺を防ぐため いま「民間ネット」に何ができるか
(2)社会的包摂ワンストップ相談事業について
(3)自殺総合対策大綱の改定について

(1)震災自殺を防ぐため いま「民間ネット」に何ができるか。
最初に清水代表が東日本大震災に関連した自殺および自殺リスクの高まりについて、資料をもとに説明。その後、実際に被災者への支援を行っている団体から取組みと課題について報告がなされました。
▼NPO法人いわて生活者サポートセンター
岩手県野田村における官・民・大学が一体となった支援
▼NPO法人蜘蛛の糸(秋田)
岩手県釜石市での経営者向け相談/秋田県に避難された方への支援
▼ライフリンクら民間10団体
東日本大震災遺族支援(死別・離別の悲しみ相談ダイヤル、ほか)
これらの報告を受けて様々な具体策が検討され、今後実践に移していくことが決まりました。「自殺対策と被災者支援は、“生きることが困難な人たちへの支援”という意味で本質は同じであり、取り組みのポイントも重なる部分が多い。自殺対策に取り組んできた私たちのこれまでの経験やノウハウを活かしていこう」ということを改めて確認しました。

(2)社会的包摂ワンストップ相談事業について
政府の「社会的包摂政策に関する緊急政策提言」について、あらためて資料を読み込みながら内容を確認。その上で、自殺対策に取り組む民間団体としても、こうした動きに連動する形で積極的に取り組みを押し広げていこうと、かなり具体的な項目にまで突っ込んだ議論が展開されました。
※社会的包摂政策に関する緊急政策提言
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/kettei/20110810teigen.pdf

(3)「自殺総合対策大綱」の改定について
策定から5年、来春を目途に改定が検討されている「自殺総合対策大綱」について、現場で自殺対策に取り組む民間団体の視点から、実態を踏まえてどのような改定が必要なのかを議論しました。具体的には、「子どもへの自殺予防教育について、もっと幅広く、学齢期だけではない早くからの枠組みが必要ではないか」「遺族の心情に配慮した表現を検討すべきではないか」「当事者本位という基本姿勢を、大綱の前書きとして加筆すべきでないか」等、様々な意見が出されました。大綱の改定については、ライフリンクが事務局となり、今後も継続して議論していくことになりました。

今回の緊急会合は、9/3(土)に盛岡市で開かれた「北東北自殺予防民間団体等交流会」と連動する形で開催され、夜には合同の懇親会も催されました。自殺対策に取り組む全国の民間団体が一堂に会し、顔を合わせて、膝詰めで本音を語り合う貴重な機会になりました。今後はもう少し頻繁に、会合を持つようにしたいと考えています。

2011/05/01

東日本大震災遺族向け「死別・離別の悲しみ相談ダイヤル」を開始

東日本大震災で家族を亡くした遺族は、10万人を超えると推計されます。中には、家も仕事も故郷も失い、その上で大切な家族を亡くし、「生きる前提条件」を奪われて、独り苦しんでいる人も少なくないのでは、と危惧しています。
そうした悲しみ(絶望)の淵にある震災遺族の方々の少しでも力になれればと、「自殺対策全国民間ネットワーク」の参加10団体により、震災による死別や離別の悲しみを、安心して打ち明けることのできる相談電話を開設しました(事務局:ライフリンク)。対応するのは、これまで遺族支援に関わった経験のある相談員(阪神淡路大震災で遺族向けに相談電話を行った相談員も参画しています)。
また、弁護士や精神科医、僧侶などとも連携して対応にあたることで、実務的な問題にも対応できる体制をとっています。開設前には、参画するスタッフの研修会を行
うなどして、準備を進めてきました。
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【震災遺族向け「死別・離別の相談ダイヤル」概要】

▼実施日
5/1~5/5の10~20時。それ以降は、毎週日曜日の同時間。および毎月11日の10~24時。
(世間で家族が集う機会は、遺された人にとっては家族を亡くしたことを強く実感させられる機会。そのため、GWに相談ダイヤルを開設し、毎週日曜日と月命日に行うことにしました。)

▼電話番号
0120-556-338 ※岩手、宮城、福島県内からのみ通話可能
(フリーダイヤル「こころのささえ」。遺族の心の支えになれればという思いを込めて、また、すぐに覚えてもらえる番号を、と思って決めたものです。)

▼体制
福島や東京、京都、大阪、兵庫などで、自死遺族支援や電話相談を行っている民間団体が中心。常時3回線で受けるシフトを組み、各団体に電話を転送して対応。

▼初日(5/1)の相談経過
予定通り昨日、5月1日午前10時から相談ダイヤルの受付を開始しました。10時を過ぎると早速電話が鳴り、震災で家族を亡くされた遺族の方、まだ家族が行方不明で見つかっていないという方からの相談が寄せられました。あわせて21人の方からの相談を受けました。男性10人で女性11人です。また県別でみると宮城県からが最も多く、16人に上りました。

突然、大切な方を複数亡くされ、家も、仕事もないという想像を絶する状況。深い痛みを改めて感じました。かける言葉もない、ただお聞きするしかないという場面もありました。
また、少なくないご遺族が、様々な実務的問題や悩みを抱えており、お気持ちに寄り添いながら、具体的な問題解決、支援に早いうちにつなげることが重要だと痛感。
まだ1日目を終えた段階ですが、こうした相談場所がやはり必要とされているのだと強く実感しました。

▼関連報道抜粋
【事前告知】
○河北新報(共同配信)
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110430t75039.htm
○朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0429/TKY201104290317.html
○NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110501/k10015654441000.html

にも、被災県のローカルメディア(災害ラジオ等)でもご紹介いただきました。こうした報道を通して、相談ダイヤルの情報が震災遺族の方々に少しでも広く届けばと願うばかりです。遺族の中には、様々な手続き等で、電話をする余裕すらないという方も多いと思います。ただ「話を聴いてもらいたい」と思った時に、その受皿となれるように、引き続き相談活動を続けていきます。

2010/09/10

「自殺対策全国民間ネットワーク」設立集会

平成22年の「世界自殺予防デー(9月10日)」に開かれた設立集会には、北海道から沖縄まで、全国各地から各団体の代表らが集まりました。

自殺対策全国民間ネットワーク設立集会の様子

参加団体の中には、特定非営利活動法人(NPO)やボランティア団体、学生団体や当事者グループの他、「自死遺族支援弁護団」や「自殺対策に取り組む僧侶の会」のように専門家で組織されたものもあります。それぞれの団体が得意(専門)とする分野は、「法律」や「医療」、「政策立案」や「経営」、「教 育」や「グリーフケア」など様々。事業形態も、「電話や面談、手紙による相談」や「分かち合いの会や当時者グループの運営」、「自殺リスク地での危機介入」や「社会への啓発」など、多岐にわたります。

これまでは個別に活動してきたこうした団体が「民間ネット」の下に集結したのは、自殺対策の全国的な底上げを民間の現場から牽引する必要があると考えたからです。自死遺児や民間団体の声が後押しする形で平成18年に自殺対策基本法が成立してから4年、確かに政府の取り組みは進んできました。警察の統計資料を活用した自殺の実態分析や関係大臣らによる特別チームの結成、それに100億円の自殺対策強化基金の設置など、ここ数年で国の自殺対策は飛躍的に前進しています。

しかし、各地域に根差して活動している民間団体には、国の基金の活用方法などの情報が十分に行き届いていないケースもあり、官民連携の推進にはまだ 多くの課題があります。また地方自治体の自殺対策の取り組みは、積極的なところとそうでないところの格差が拡大している実態も否定できません。

自殺対策の全国的な底上げを図り、社会全体で「生きる支援」が展開される状況を作るために、今後「民間ネット」では、行政や他分野の専門家等との連携をより深めていきます。またそれぞれの団体の得意分野を活かし合い、互いの足りない部分を補い合いながら、情報収集や人材育成を協働して行い、自殺対策に取り組む民間団体としての総合力を高めていきます。そうして、自殺対策活動の現場から、当事者本位・現場本位の対策を牽引していければと考えています。